膝頭に半熟卵をぶちまけた

多摩川を挟んで東に東京、西に神奈川。
僕は川が好きで、多摩川の東の狛江から、多摩川の西の生田に、今日引っ越した。

アパートの近くの小さな商店でパスタと具材を買って帰って作ろうとしたら、備え付けのIH加熱器が壊れていたので、仕方なく近所のお弁当屋(かまど屋)に行った。

注文をしてお弁当を待っていたら、先に会計を済ませたおじさんに店員さんが「これよかったら」と缶のお茶をサービスして、おじさんは「えっ、じゃあお言葉に甘えて!」と嬉しそうに店を後にした。感動しながら僕も会計をしたら、店員さんが「これよかったら」とお味噌汁をサービスしてくれて、さらに感動してニヤニヤしながら店を後にした。初日から早速この町が好きになった。

ウキウキしながらスキップ気分で公園に行き、ピリ辛茄子味噌炒め弁当の蓋を開き、いただきます、そしておかずに乗せる半熟卵を取り出し、ベンチで割ろうか、いやそれは汚い、仕方ない、膝頭で割ろう、そうしよう、と、膝頭で叩いたら、半熟卵は僕の膝頭に、まるで地面に叩きつけられたトマトのように見事に破裂した。あまりのショックに混乱し、お弁当のお箸の紙袋(ごく小さい)で膝頭を拭こうと試みたら、太ももからスネまでパックをしたような状態になり、さらに溶けたロウが乾いた後みたいにカピカピになった。そしてその間に約12箇所を蚊に刺された。

ゲンナリしながら近くのセブンイレブンで手や膝頭を洗いながらふと、「こういう無邪気さが舞台の上でもあればなあ・・・」と思った。

芸術を試みたり志したりすること。

富よりも名声よりも成功よりも、そんな日常の感動や、混乱や、痒みや、唐揚げとビールや、夏の夜の風や、ありがとうやさようならや、おはようやおやすみを、毎日人生初めての一日のように、初々しく瑞々しく感じていきたい。

僕はつくづく生きることを愛してるなあと思った。
僕はつくづく人が生きることを愛しているなあと思い出した。

藤井宏次

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