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「どん底、」プレ対談後記 (稲葉俊郎)

 本番リーフレットに掲載された記事です。


稲葉俊郎(FB)2
「どん底、」公演のプレ対談が11月11日にあった。自分はナビゲーター。
アニシモフ監督&田口ランディさんというパワフルな組み合わせ。
色々な話が出て面白く勉強になった。

やはり、自分が一番興味があるのは、なぜ現代であえて「どん底、」という演劇をやるのか、その意義だろう。

この作品自体は、1900年代のロシアが舞台で、貧しいひとたちがある宿を舞台にして起る群像劇。どんなつらい状況の中でも、人間が人間らしく生きるとはどういうことか、そういう極限状態でこそ浮かび上がる人間の深い本質をこそ、描いている。


祖父母の世代は、「どん底、」を経験した世代だろう。
戦争で、今まで得た地位や名誉も、お金も物もなくなり、焼け野が原から日本というシステムをもう一度作り上げて行った。
親の世代も、その余韻をうっすらもってはいる。ただ、親の世代はその亡霊を打ち消すように、すべてのプライベートや家庭を犠牲にして、多くの人が仕事に邁進した時代だった。

効率性と大量生産、大量消費社会をつくって、人・物・金、の3点セットをぐるぐると回転させていくことが社会の進歩につながると、仮定して。

そして、今がある。では、今、どういう時代だろう。
どれだけの人が幸せや、生きる実感を得ているだろうか。


ゴーリキ「どん底、」では、物質的な飢餓での人間の極限状態を描いたが、現代は、むしろ精神的な飢餓が描かれるのかもしれない。
食べ物はある。寝る場所はある。
ただ、何か足りない、何かが違う、何か穴があいている。そう感じている人たちは、戦前・戦中のようにドスンと床を外されて「どん底」に落ちるのではなく、知らないうちにズリズリと「どん底」へ落とされているかもしれない。


個人的には、そのズリズリした見えない力は、人間が生み出した「システム」によって、ジリジリと、逆に自由を奪われているのではないかとさえ、思う。


このロシアのゴーリキ作「どん底、」が、なぜ今の時代に上演されなければいけないのか。
もちろん、答えはない。アニシモフ監督が無意識に何をキャッチしてこの上演が行われるのか、観る側がそういう視点で見た方が、きっと楽しめると思います。

(FBより、ご本人の承諾をいただき一部転載させて頂きました) 


稲葉俊郎   
医師、東京大学医学部付属病院循環器内科助教
カテーテル治療や先天性心疾患を専門とし、往診による在宅医療、民間医療にも造詣が深い。能楽を学びながら、未来の医療の枠を広げるよう、芸術、伝統芸能、農業、民俗学など、様々な分野との化学反応を起こす活動を積極的に行っている。

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