スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

今とは違う? 近松の時代の『曾根崎心中』

近松門左衛門 特集 2  
~『曾根崎心中』の大坂をのぞく~(2)


2018年2月22日(木) ~ 25日(日) 『曾根崎心中』 
公演の詳細はこちら


近松の時代の人形は「一人使い」
今でこそ、文楽といえば「三人使い」ですが、近松の頃はまだ、人形は一人使いでした。三人使いの人形が登場するのは、近松が死んで10年くらい経った頃。それも当時は、ショー的な効果を狙ってのワンシーン限定に作られた人形だったそうです。
(pd) 辰松八郎兵衛が操るお初の人形:「牟芸古雅志」(瀬川如月著)より人形浄瑠璃「曾根崎心中」上演の様子(pd) 辰松八郎兵衛が操るお初の人形:「牟芸古雅志」(瀬川如月著)より

この挿絵の中に描かれている「辰松八郎兵衛」は、女方人形遣いの名手として知られ、1703年の竹本義太夫演奏による『曾根崎心中』初演では、お初を演じました。

もう1枚、当時の人形浄瑠璃の挿絵を紹介しましょう。
この挿絵は近松の舞台のものではありませんが、 『人倫訓蒙図彙』(1690年)に描かれたものです。やはり一人使いですね。

部分 20% (PD) 『人倫訓蒙図彙』(1690年)より「人形浄瑠璃」挿図


近松の作品に向いているのは、1人使い? 3人使い?
近松の死後、文楽人形は、「三人使い」の操作が考案され、やがて、目を動かし、舌を出し、髪を逆立て、腹を動かせるようにもなるなど、高度な感情表現を手に入れていきます。

けれども近松の作品は、こうした複雑な人形操作を必要としない、素朴でシンプルな人形劇の時代に書かれ、上演されました。

近松の、リズミカルで、たたみかけるような文体は、むしろこうした一人使いの人形に支えられての作風といえるのかもしれませんね。もしかしたら、近松の作品は「一人使い」の人形に戻って上演する方が、より楽しめるのかもしれません。そんな想像も膨らんでしまいます。
例えば作家の橋本治先生が、著書『浄瑠璃を読もう』の中で、近松の文体、作風と、一人使いの人形操作の関係について書かれています。機会があればぜひお読みください。(この本はとっても面白いので、おススメです。)

さて、『曾根崎心中』の上演は爆発的な人気を呼び、その後、「心中もの」シリーズが大流行します。
ところが「心中」自体も頻発するようになってしまったため、「心中もの」は、社会規範を乱す作品として、江戸幕府によって厳しい取り締まりの対象となり、以後上演することができなくなりました。(近松晩年の頃のことです。)

そして時代が変わり、明治時代。
演劇改革のパイオニア、坪内逍遥(つぼうち しょうよう)博士によって、近松門左衛門の作品が再発見、再評価されるまでの間、たとえば『曾根崎心中』などは200年の間、上演されることがありませんでした。(ちなみに「近松門左衛門は、日本のシェイクスピアだ」と評したのは、この坪内逍遥先生です)

その間に、音楽スコア(三味線譜)も失われ、当時、どのように上演されたか、今となっては分かりません。
現代に上演されている『曾根崎心中』は、実は、新たに作曲し、演出しなおされたものです。
1953年、宇野信夫先生が歌舞伎版『曾根崎心中』を脚色、復活上演が行われ、文楽では、1955年に、野沢松之助の脚色・作曲によって復活上演されました。

こうやって見てくると、
近松の再評価、近松作品の可能性を探る道のりは、実は、まだまだ「途上」なのかもしれませんね。



※おことわり
文中では、「人形使い」という表記で統一していますが、正確には「人形遣い」という表記になります。


※参考:『浄瑠璃を読もう』 橋本治著/新潮社

50%size (pd) 「牟芸古雅志」(瀬川如月著)より人形浄瑠璃「曾根崎心中」上演の様子 
「牟芸古雅志(むぎこがし)」(瀬川如月著)より人形浄瑠璃「曾根崎心中」上演の様子(Public Domain)

10% (PD) 『人倫訓蒙図彙』(1690年)より「人形浄瑠璃」挿図 (Public Domain) 『人倫訓蒙図彙』(1690年)より「人形浄瑠璃」挿図



2018年2月22日(木) ~ 25日(日) 『曾根崎心中』 
公演の詳細はこちら

コメント

非公開コメント

メルマガ登録

「東京NOVYIメールマガジン」(週一ペースでの配信)に登録すると、「月刊Newsletter」(月一ペースでの配信)があわせて配信されます。
*メールアドレス
*お名前(姓・名)
*お名前ふりがな

プロフィール

東京ノーヴイ

Author:東京ノーヴイ
東京ノーヴイ・レパートリーシアター

東京ノーヴイ・レパートリーシアターのメンバーたちが、任意に稽古の模様や本番の様子などを、お伝えしてまいります!


私たちは、ロシア功労芸術家のレオニード・アニシモフを芸術監督に迎え、ギリシャ悲劇からチェーホフにいたる、古典作品から厳選したレパートリーを上演しています

平成27年3月27日、東京都より「認定NPO法人」として認定されました。


<検索タグ>
東京ノーヴイ・レパートリーシアター
ノーヴイ
ノーブイ
のーぶい
ノービー
のーびー

TNRT 公式ホームページ

東京ノーヴイ・レパートリーシアター

Twitter on FC2

ランキングに登録しています

ランキングに登録しています。 下の画像をポチッと押してください。 応援よろしくお願いします。↓ CoRichブログランキング
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。